食品業界の言う「冷暗所」ってどこで、何度のこと?
よく食品の「保存方法」の欄を見ると「直射日光をさけ、冷暗所で保存してください。」と書いてあります。
冷蔵庫ならば分かるけれど、冷暗所ってどこ!?
そして、何度で保存したらいいの?
逆に言うと何度までOK!?
これらについてお知らせします。
よく見る保存方法の「冷暗所」。
家の中で言ったらどこなのでしょうか?
日本家屋には「室(むろ)」があった
今では家の中に存在しない部屋があります。
それが「室(むろ)」です。
家の中にない場合もありました。
氷を入れた氷室(ひむろ)や、麹を入れておく(こうじむろ)など。
外気を遮断して、光を遮断して、ひんやりした部屋です。
主に食品を保存するために準備された部屋です。
室は食品の保管にむいています。
直射日光を避け、温度も人間がひんやりと感じる温度なのです。
風通しも良いです。
それで、今でも「風通しの良い冷暗所」と言う文言が残っているのだと私は思っています。
常温は何度?
さて、保存の時に出てくる「常温で保存」って何度くらいなのでしょう?
沖縄では1年を通して20度を超えているわけですし、北海道では氷点下になることもあります。
暖房や冷房を入れたり、入れなかったりで、室温は変わります。
食品を保管するのに適した温度、「常温」とは何度くらいを言うのでしょうか?
調べてみると、食品衛生法では、「常温」とは、15度~25度くらいを指します。
常温保存とは、15度~20度くらいで保存することを言うのです。
15度と言うと、冬だと温かい方ですし、夏だと20度は平気で超えてしまうでしょうから、比較的早いうちの春とか、秋口の室内の温度、と言ったところでしょうか。
直射日光を避けて、風通しが良い、そして、温度が15度~20度くらいで保存するのが、「常温保存」です。
常温は業界によって異なる
さて、「常温」を知ったところで、単に15度~20度ってことか、何だ、と思っていませんか?
実は、業界によって常温は異なる温度を指すのです。
例えば、薬事法で言う、「常温」は、食品と同じく、15度~25度を指します。
ところが、工業製品などを扱う、日本工業規格(JIS)では「常温」を20℃±15℃(5~35℃)としています。
ちょっと印象が違いますよね。
賞味期限を考える時は、「常温保存」と言ったら15度~20度と考えて良さそうです。
さて、「常温」と似た言葉で「室温」と言うのがあります。
似ているけれど、別の言葉なので、どれくらい違うのか確認しておきましょう。
室温の温度とは何度?
「室温」と言う言葉を使うとき、食品では当然使うと思います。
その他、薬の業界でも使います。
オフィスの温度が熱い、寒い、と言うときにも「室温」と言う言葉を使います。
食品の業界では「室温」=「常温」ととらえて良さそうです。
明確な定義がないようでした。
科学の業界では、「室温」とは、加熱も冷却もしていない温度のことを言います。
酢酸の融点が16.7度なのですが、「教科書などでは酢酸は液体」とされていますので、16.7度は室温だと言えます。
物理の世界では、セ氏(℃と言うやつ)ではなく、K(ケルビン(ケルビム))と言う温度を使うことが多いです。
きりが良いので300K(ケルビン)を室温としています。
ちなみに、セ氏に直すと27度が300Kです。
薬の世界では、常温が15度~25度でしたが、室温となると15度~30度となっています。
このように業界によって「室温」の定義も違います。
我々一般人が「室温」と言うと、15度~30度くらいを考えたらいいかもしれませんね。