【冷凍保存の基礎知識】再冷凍は危険!?停電時は冷凍食品に注意!!
日常生活で冷凍食品の存在は無視できない存在となっています。
スーパーなどで買って、自宅に持ち帰るまでの間や、台風などの災害で停電になり、冷凍庫の温度が上がってしまったとき、どうしたらいいでしょう?
再度冷凍しますか?
実は、その再冷凍かなり危険を孕んでいます。
冷凍食品が少し溶けたけど、冷凍庫に入れたら大丈夫だよね?
冷凍食品をスーパーなどで購入して、自宅に持ち帰るまでの間、思ったよりも時間がかかり冷凍食品が溶けてしまうことがあります。
完全に溶けてしまうことはないにしても、半解凍になってしまったり・・・
冷凍食品は、特殊な業務用冷凍庫で急速冷凍して作られます。
特殊清潔工場で作られるので、製造時に菌などの混入はかなり少ないです。
(完全なる無菌はほとんど不可能ですが、通常よりも劇的に少ない状態で作られている)
一度溶けてしまったり、溶けかけてしまった冷凍食品は、菌が繁殖します。
10℃を超えると菌は繁殖しやすくなります。
冷凍食品は未開封の場合は、包装の中も菌が少ない状態で封がされているので爆発的に菌が増える可能性は低いです。
ただ、1つでも菌があると条件によっては増えることがあるので手放しに安心しないようにしてください。
一度解凍したら、再冷凍しても元には戻らない
物は冷凍したら、水分が膨張します。
その際に、細胞壁を壊します。
解凍してしまうと、食材の中の水分が溶け出してしまいます。
通常「ドリップ」と呼びます。
このドリップには、食材の栄養やうまみ成分も含まれるので、一度溶けた冷凍食品は再冷凍しても味や食感が落ちてしまうのです。
冷凍食品は、冷凍したまま加熱調理して食べられる状態にします。
これは、ドリップが出る前に食材の中で加熱された状態にする意味もあるのです。
再冷凍してはいけない食材
冷凍食品は、衛生管理された状態で製造されているので、未開封の状態では菌は繁殖しにくい物でした。
ところが、開封した冷凍食品や、たんぱく質の物などは再冷凍をしないようにしましょう。
たんぱく質食材とは、「肉類」、「魚介類」などを言います。
家庭で冷凍した物などは、冷凍前に必ず手で触っています。
どんなに手を洗っても、手について菌をゼロにすることはほとんど不可能です。
そのわずかに付着した菌が、冷凍中は静かになっていますが、解凍した時点で再活性化して繁殖してしまうのです。
その時に、たんぱく質が多い食材の場合、菌にとってもエサが多い状態です。
温度など条件がそろってしまうと、爆発的に菌が増えることになります。
加熱したら大丈夫だよね!?
賞味期限、消費期限などが怪しいものや、溶けてしまった冷凍食品、冷凍した食材は加熱したら安全に食べられると思っている方が多いです。
ところが、菌を加熱で殺菌するのは意外と難しいです。
菌は1個や2個摂取しても食中毒にはなりません。
-5℃以下で菌の活動は停止しますが、死んだわけではありません。
10度を超えると、1個の菌は2個に分裂し、2個の菌は4個に分裂し始めます。
増殖速度が速い腸炎ビブリオを例に考えると、栄養条件がいいと10分に1回分裂して2倍に増えます。
倍々に増えていくので、1時間で約32倍、3時間経つと約1万倍になっている計算です。
十分食中毒になる量に達します。
腸炎ビブリオは、シラスから発見された例があります。
鶏、豚、牛やたまごから稀に見つかる「サルモネラ」やカレーなどの鍋から検出されることがある「ウェルシュ菌」は、腸炎ビブリオよりも繁殖速度は遅めです。
高めの室温で2~3時間放置すると、やはり食中毒を発症する程度の菌数になるのです。
サルモネラ、病原性大腸菌o-157、カンピロバクターなどの食中毒菌の多くは、75℃以上1分間の加熱でほとんど死滅します。
熱に強いノロウイルスの菌は、85℃以上で1分間加熱が必要です。
焼肉で考えると、75℃以上は実現可能だとしても、1分間も加熱したら真っ黒になってしまいかねません。
肉や魚介類などの海産物は、冷凍しても問題ありませんが、一度溶けたり、溶けかけたりした場合、再冷凍してはいけません。
たんぱく質を餌に、菌が爆発的に増えることがあるからです。
食材が溶けかけたときは、そのまま過熱して早めに食べきるようにしましょう。